白鴎大学 HAKUOH UNIVERSITY

法学部

教員紹介詳細

教員氏名 宮本 ともみ(ミヤモト トモミ)
職名 教授
最終学歴・学位 <最終学歴>中央大学大学院法学研究科民事法博士後期課程修了 <学位>博士(法学)(中央大学) 
専門分野 民事法(家族法)
学協会活動 日本学術会議連携会員、 日本家族<社会と法>学会会員、日本私法学会会員、 東北法学会会員、法文化学会会員
【主な著書・論文等】
〔著書・論文等〕
・博士学位論文「婚姻住居と家具利用の法的研究」(中央大学)
・「ドイツにおける婚姻関係の規整」法学新報110巻1・2号(三和一博先生退職記念論文集)317-359頁
・「人の死をめぐる法律問題」法学セミナー685号19―22頁
・「災害関連死の審査について―東日本大震災における岩手県の取組から―」アルテス リベラレス92号67-86頁
・「災害関連死について」アルテス リベラレス107号171-198頁
・「別居時の婚姻住居利用をめぐる夫婦間での所有権にもとづく建物明渡請求事件・共有物分割請求事件―婚姻効力説の視点にもとづく考察―」アルテス リベラレス111号159-179頁
・「離婚後の婚姻住居利用をめぐる夫婦間での所有権にもとづく建物明渡請求事件・共有物分割請求事件―婚姻効力説の視点にもとづく考察―」アルテス リベラレス112号105-125頁
・「賃貸借契約および使用貸借契約に関係する住居利用紛争―婚姻力説にもとづくこえまでの考察を踏まえて―」アルテス リベラレス115号157-176頁
・「自治体による「災害関連死」の審査―内閣府「災害関連死事例集(増補版)」解説の試み―」岩手大学リポジトリ(全国地方自治体に配布)
・「38年前の最高裁大法廷昭和62年9月2日判決(有責配偶者からの離婚請求訴訟)の再検討― 日本の離婚制度を考える契機とするために―」アルテス リベラレス117号107-128頁

◆◆◆◆◆ その他 研究内容・学生へのメッセージ ◆◆◆◆◆

【問題関心】
これまで、主として、以下の2つのテーマに取り組んできた。
①学位論文で取り組んだテーマ
 ドイツ家族法における婚姻住居(夫婦が婚姻共同生活を営む住居)をめぐる法律関係である。ドイツでは、婚姻住居利用関係を夫婦の共同占有関係と位置づけており、夫婦の本質的義務にもとづいて婚姻締結と同時に発生する占有権原である。したがって、別居中あるいは離婚後に同占有関係を夫婦どちらに割り当てるかは、財産権にもとづいて解決するのではなく、家族法にもとづいて解決する。その解決方法は民法家族法領域のなかに定められている。
 日本では、夫婦の本質的義務として同居協力扶助義務(民法752条)が定められている。しかし、夫婦が婚姻共同生活を営む住居利用について夫婦間(子どもを含む)で紛争が生起すると、財産権(賃貸借権、所有権など)あるいは財産分与に依拠して訴えが提起されており、その解決は多様であり、必ずしも妥当な解決を見出しているとはいえない事案もある。
 夫婦が婚姻共同生活を営む婚姻住居利用関係を法的にいかに捉えるか(財産法上の関係なのか、家族法の関係なのか)、そして同利用関係をめぐる夫婦間の紛争はいかに解決されるべきであるのかが、学位論文の一貫した問題関心である。
②災害関連死
 2011年3月11日に発災した東日本大震災を機に、岩手県の災害弔慰金等支給審査会の委員に就任したために、数多くの災害関連死の審査に携わってきた。災害関連死は、地方自治体(市町村)が条例にもとづいて災害弔慰金(一人につき原則500万円)を支給する問題である。同審査をめぐっては、マスコミで大きく取り上げられたり、裁判が提起された。災害関連死という概念は、1995年1月17日に発災した阪神淡路大震災の折に裁判が提起されたことで、初めて明確に法律上の問題であることが認識されたが、一体、災害関連死であることを認定する審査や基準は存在していなかった。その後も、熊本地震や能登半島地震なででも、災害関連死の審査をめぐる混乱もみられた。このため、自身の経験にもとづいて、災害関連死の審査基準や手続を明確にするために、これまで探求をし、その成果としていくつかの論文を公表してきた。

【現在の研究テーマ】
白鴎大学の前任者である水野紀子先生によると、日本の民法家族法は、当事者にとって必ず解決が見通せる大人のルールブックとなっていない。しかも、強者・弱者の関係にある当事者の自由を保障するために必要不可欠である、国や法律専門家が責任を担う公的介入が整備されていない。
 水野先生の問題意識に依拠して、今後、家族法制度の整備を視野に入れて研究を展開していきたい。学位論文で取り組んだテーマが婚姻法(別居および離婚も含む)であるので、とくに離婚法制度に重きを置いて研究していきたいと考えている。

【学生へのメッセージ】
自身が学生のころ、意気込んで六法の基本書に取り組んでは挫折し、砂をかむような日々を送ったことを懐かしく思い出します。もともと知識を詰め込んで臨む受験や資格試験が苦手だったのですが、それでも、面白いと感じ出したのは、「どうして?」「なぜ?」を考えることができるようになってからです。
 法学の出発点は、まずは法律の作法(法律用語や膨大な条文参照や法律独特の解釈論など)を身につけなければいけません。これが砂をかむようで辛い(?得意な人もいるかもしれない)。しかし、1年次・2年次と忍耐強く作法を学んでいくうちに、必ずどこかで「どうして?」「なぜ?」が現れてきます。こうなると、関心が湧いてきます。
 法学は社会の仕組みをつくる大人の学問と言われています。まだ、経験のない法律問題を解くことも砂をかむような境地に誘うのかもしれません。でも、信じましょう。みなさんは、これからずっと大人の道を歩んでいかなければなりません。大人の道を進めば進むほど、法学はがぜん面白くなります。
 法学を学ぶためには想像力をたくましくすることが大事です。みなさんの想像力がふくらむような授業を心掛けていきます。学年が進むうちに、法学への関心が深まることを信じて、一緒に歩んでいきましょう。