白鴎大学 HAKUOH UNIVERSITY

法学部

学部長あいさつ

法学部長 池村好道

法学部長 池村好道

今日の私たちの生活においては、社会的、経済的諸条件の急激な変化もあって、エネルギー・環境、社会保障、ジェンダーなどをめぐって、次から次へと解決の難しい課題が登場してきています。そしてそれらの中には、法的な対処を迫られる課題も数多く含まれます。白鷗大学法学部は、このような法的課題の解決に、卒業後も含め「豊かな法的素養をもって意欲的に取り組むことのできる人材の育成」を目標としています。

かかる目標の達成に向け本学部として特に重視しているのが、ゼミナール活動の充実を図ることです。法的課題の解決に向けては、法律などの法規範に関する知識を豊富に吸収してもらうことが不可欠なのは言うまでもありませんが、それだけで足りる訳ではありません。課題を解決しようとして「事実」に法規範を適用することは、そうたやすいことではないのです。法規範の内容は一義的・明確であるとは限らないからです。ここに、適用する法規範の解釈の妥当性が問われることになります。そして、解釈の妥当性を追究する上では、めいめいが判例を含め文献に当たるだけではなく、指導教員や他の学生仲間と膝を交えて、甲論乙駁を恐れることなく積極的に議論を展開するというゼミナール方式が有用といえましょう。法規範を目的論的に考察する、それを時の経過の中で再評価する、法的安定性への目配りを忘れない 、といった法的思考力が培われ、事細かな知識は忘れてもなお忘れえぬ法的素養が涵養されていくものと期待されます。ちなみに、このようなゼミナール活動を通じて、学生諸君は、コミュニケーション能力、自己を客観視する姿勢、協調性、「前に踏み出す力」など、学窓を巣立った者に社会が求めるものをも、在学中に身につけてくれることでしょう。

本学部に特徴的な教育上の工夫としては、ほかにも、法的素養の涵養に欠かせない隣接諸科学の知見を修得してもらうべく、政治学・政策学に関わる授業科目の充実に努めていること、弁護士などの法曹や公務員を経験した教員による授業科目も開講し、理論と実務の接点に親しんでもらうよう配意していること、上記のゼミナールにおいては、「基礎ゼミ」、「専門ゼミⅠ」、「専門ゼミⅡ」間に有機的連携を保ち、グラジュアルなゼミ履修を行うことを可能ならしめていること、学生諸君が自己の進路を意識しながら効果的な科目選択・学修を進めることができるよう「コース制」を採用していること ( 現行の5コースを「法務」、「公共政策」、「企業」の3コースに集約の予定 ) 、等を挙げることができます。

本学部は1992年 (平成4年) に創設されており、今年は創設30周年の節目に当たります。これまでも法律実務、警察・消防、国家・地方の一般公務、金融、サービス業など、多彩な分野に数多くの卒業生を送り出してきましたが、創立30周年を機として、積み重ねてきた教育改善を今後も前に進め、従来に勝るとも劣らない有為な人材を輩出していこうと決意を新たにしているところです。また、研究活動の更なる活性化を図るとともに、その成果を新味を加えて展開する地域貢献活動に積極的に反映させることを通じて、北関東唯一の法学部ならではの地域振興への寄与を、一層確かなものとするよう努めていく所存です。本学部のステークホルダーの皆様には、これまで以上にご理解とご支援を頂けますようお願いいたします。

2022年4月