教員氏名 | 水野 紀子(ミズノ ノリコ) |
職名 | 教授 |
最終学歴・学位 | 東京大学法学部卒業。学士助手に採用されたため、学位は法学士です。 |
専門分野 | 民法・家族法 |
学協会活動 | 日本私法学会、比較法学会、日仏法学会、日本家族(社会と法)学会など。日本家族(社会と法)学会では、2020年1月から理事長をしております。 |
【主な著書・論文等】 |
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私のホームページにリストアップしてありますので、参照してください。 http://www.law.tohoku.ac.jp/~parenoir/ ◆◆◆◆◆ その他 研究内容・学生へのメッセージ ◆◆◆◆◆ 【問題関心】 日本の親族法と相続法領域については、全体的に対象として研究をしてきました。とくに母法である西欧法と日本法との相違について考えることから、日本法の問題を考えてきました。他人と比較してはじめて自分の特徴がわかるように、比較法研究によってはじめて、日本法や日本社会の特徴がわかるように思います。 人体は,その内部メカニズムが複雑な連携と相互作用をもつ複雑系だといわれます。我々の社会も,そのような複雑系の人体に似たところがあります。新薬が治験過程を経ていても思いがけぬ副作用をもつことがあるように,新しい法制度の導入が,狙った効果より強い副作用をもたらすこともあります。また,医学が,患者の生活条件を考慮に入れないと治療方針が立てられないように,法学も,法的な仕組みを導入するときには,導入される社会の文脈を考えなくてはなりません。日本法は,明治時代以降に西欧近代法を継受したものであり,そのことの限界がまだ多くの点で乗り越えられていないように思います。もとより伝統的な独自性をもつ日本では,西欧法の導入そのものが国情に合わないなどというつもりではありません。むしろ西欧近代法の導入が,日本社会の条件に合致するように,ないしは必要な条件を整備することとともに,きちんと行われてこなかったゆえに,社会の運営にひずみや無理が生じていることが多く,その点をこそ直視したいと考えています。 【現在の研究テーマ】 親族法・相続法領域については、まんべんなく論文を書いてきましたが、また体系書を執筆していないので、今から数年は、その作業に取り組むつもりです。 より具体的に、喫緊の課題と考えている問題は、家族への公的介入の設計です。日本は,とりわけ公的介入によって人権を保障する法治国家機能に大きな弱点があり,いわば高度に発達した発展途上国という側面をもっています。人間は、群れで育児をする動物ですが、家族の孤立によってその条件が急速に失われてきました。孤立したマンションの一室で、暴力はエスカレートしていきます。育児の下手な親たちへの支援、とりわけ強制的な支援をどのように構築するのか。西欧法のように、行政が家族に介入し、司法がそれをチェックするという方法は、裁判官の数が圧倒的に足りない日本では現実的ではありません。日本独自の方法を編み出さなくてはならず、それには憲法学や刑法学との連携も必須になるだろうと思っています。 【学生へのメッセージ】 高校教育と大学教育の間には、大きな違いがあります。それは、高校教育は、ひたすら習って覚えることでしたが、大学教育は、自ら考えることを学ぶ場所です。考えるためには、もちろん知識を獲得することが必要ですが、同時にそれを疑うことも必要です。そんなことを書いたエッセイ、「疑うことなければ考えることなし」http://www.bureau.tohoku.ac.jp/manabi/manabi85/manabi85.pdf#page=2 をよろしければご覧下さい。 大学時代は、大人になるために精神的に一番成長するときです。この時代に培った知識、できた友人は、一生の財産になります。どうぞ充実した時間を過ごしてください。 |