過去の白鴎大学フォーラムはこちら
■プロフィール | |
ハワイ大学総長 デイビッド・ラズナー イリノイ大学で経済学学士、コンピューターサイエンス修士、ハワイ大学マノア校でコミュニケーション情報学博士号取得。1977年からハワイ大学勤務。 |
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ジャーナリスト 池上 彰 氏 (いけがみ あきら) 慶応大学経済学部卒。NHK入局後、社会部記者などを経て退職し、フリージャーナリストとして活躍。東京工業大学特命教授。著書に「世界を動かす巨人たち」など。 |
真実見極める知性を
昨年12月1日、栃木県小山市の白鷗ホールで「第12回白鷗大学フォーラムin小山」が開かれた。白鷗大学の奥島孝康学長のあいさつに続き、白鷗大学ハンドベルクワイアのメンバーによるハンドベル演奏で開幕。白鷗大学と交流協定を結んでいるハワイ大学の協力を得て、「フェイクニュースと政治」をテーマにパネルディスカッションが行われ、約500人が熱心に聴き入った。今回は、JR小山駅前に新校舎「本キャンパス」が昨春、完成したのを記念し、東京で毎年開催してきたフォーラムを小山市で開いた。
技術進歩により誕生したソーシャルメディアは、コミュニケーション環境を大きく変えました。ツイッターなどのSNSは、家族や友人、同僚とのコミュニケーション方法だけでなく、世界を知る術も大きく変化させたのです。
当初、インターネットは民主化実現のためのツールとして、無限の可能性を秘めていると考えられていました。ところが、残念なことにネットを利用した偏見や権威主義、フェイクニュースが広まっています。
IT革命とともにプライバシーも消滅すると言われます。新しい機器やソフトが、便利なサービスを提供します。その利用のため、多くの人が喜んで個人情報を提供しています。 心配なのは、蓄積されたビッグデータが偏見や権威主義の問題を大きくする要因となることです。では、これから私たちはどうすればいいのでしょうか。
私が見いだした答えは「教育」です。唯一の選択は人々に教育の機会を与えることです。リスクを理解し、複雑な世の中で真実を見極められることが重要です。ハワイ大学は白鷗大学と教育を通して、「メディア理解」促進のため、チャレンジしていきます。
世界がグローバル化し、そして様々な格差が広がり、それに対する反発から、米国ではトランプ大統領が当選し、英国では欧州連合(EU)離脱が決まりました。いずれの国でも、そうなってから、右往左往しているわけです。
グローバル化で、大勢の移民が西ヨーロッパにやってきた。それに対する反発から英国がEU離脱を決めると、思いもよらないことが起きました。英国ではEU維持のために拠出している莫大なお金を、英国の健康保険医療制度に使うべきだという主張があったのですが、実はEUから英国にも多額の補助金が入っていたことが後になってわかりました。
EUからの離脱が決まる過程でフェイクニュースが、大きな威力を発揮しました。例えば、英国民がいかにEUの規制を受けているかといったうそを描いた映画が作られました。トランプ大統領が誕生する過程においても、フェイクニュースがいろいろあったと言われています。
正しい報道というのはなかなか伝わりません。ところが、フェイクニュース、びっくりするようなうそのニュースは、あっという間に広がってしまうわけです。
さらに、ラズナー総長のお話にあったように、インターネットの技術が進んだ結果、様々な所でサイバー攻撃が起きるようになりました。コンピューターやネットワークに侵入し、システムを大きく変えてしまうわけです。
この前の米大統領選の時には、民主党全国委員会のコンピューターサーバーに何者かが入り込み、データを盗み、告発サイト「ウィキリークス」で明らかにするということがありました。
オランダではサイバー攻撃を懸念して、デジタルで行っていた下院選の開票作業を原始的な手作業に戻しました。
こうした現実をどのように考えればいいのか。この後の皆さんと議論を深めていきたいと思います。
ハワイ大学副総長 ジョン・モートン氏
ロイター日本支局長 ウィリアム・マラード氏
白鷗大学特任教授 後藤謙次氏
主催=白鷗大学
後援=読売新聞東京本社
協賛=リコージャパン株式会社 三和シヤッター工業株式会社 日立コンシューマ・マーケティング株式会社 鹿島建物総合管理株式会社 HARIO株式会社
協力=ハワイ大学
マイクロドローンレースを運営した本学の学生たち
モーションキャプチャーの体験コーナー
白鷗大学4年で菅野ゼミに所属し、今回のイベント用にVRの映像を制作した小平嗣満さんは「大学では最新の機材を使って実践的な経験ができました。その成果をこのメディアパークで披露することができてうれしい」と話していた。そうした大学での経験も評価され、小平さんは、テレビ番組の制作会社に今春就職することが決まっているという。
本記事は、2019年1月19日付読売新聞(東京版)に掲載された 企画広告の内容を元に制作しました。