教員氏名 | 成田 博志(デザイン学) |
最終学歴・学位 | 東京芸術大学・美術学士 |
【問題関心】 |
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デザインは、現代の技術や経済、社会と深く関わっています。そのため、デザイナーは新しい情報に常に敏感であるべきです。私自身も情報のネットワークを張り巡らせ、日々情報収集に努めています。 一方、私の趣味はアンティークな物の収集です。仕事とは真逆ともいえる方向性で、いわばローテクな物に惹かれます。たとえば、50年前のクルマ、90年前のケロシン(灯油)バーナー、100年以上前の筆記具、さらには150年前の絵本なども所有しています。他にも、真空管オーディオ、家具、ポスターなど、古い物には数多くの魅力があります。 これらの物に使われている鉄、木、ガラスといった素材は、錆や風化によって独特のテクスチャーを生み出し、美しい表情を見せてくれます。年月を重ねるごとに、その魅力はさらに増していきます。一方、現代は大量消費社会であるため、物のサイクルが早く、使い捨てを前提にしたプラスチックなどの素材が多く使われています。昔のクルマの装飾には金属が用いられ、高級感や重厚感がありましたが、現在ではプラスチックにメッキ処理を施したものに置き換わり、質感が低下しているように感じられるのが残念でなりません。 古い物は、現代のようにコンピューターで制御された自動化製品とは異なり、機能が複雑だったり、手間がかかったりします。しかし、面倒な操作を通じて物と一体感を得られる点が非常に心地よく、その物を大切にしようという気持ちが自然と湧いてきます。また、古い物のフォルムは手作業による微妙で美しい曲線を描いており、緻密で複雑なデザインが多いです。これは、機械による大量生産品では再現が難しいものです。 私にとって、このようなアンティークの趣味は単なる楽しみに留まりません。 古い物から得られる質感、機能、フォルムといったデザインのエッセンス(本質)が、現代の技術や社会が求める新たなデザイン創造の手がかりとなることを願っています。 |
【現在の研究テーマ】 |
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・テクノロジーを活用したデザインの研究など。 コンピューターを使用したデザインは、様々なコンテンツに不可欠なものとなりつつあります。データの互換性やファイルの圧縮形式、通信やCPU速度の向上などにより、同コンテンツ間や別コンテンツへのやり取りも容易になってきました。デジタルデータとして加工することにより新たなコンテンツと結びつき、それに即してデザインを必要性が増してきました。コンテンツによってデザインは様々ですが、既存のデザイン行程と同様に、目的や要求、制限を確実にクリアしながらデザインをしていくことが重要となるでしょう。そのために日々新しいテクノロジーを活用したデザインの研究調査する必要があると思います。 |
【主な著書・論文等】 |
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1995年 東京芸術大学美術学部デザイン科 卒業 1995年 日本テレビ放送網株式会社 入社 同社で、画面表示デザイン、ヴァーチャルセットデザイン、番組タイトルロゴデザイン、キャラクターデザイン、番組オープニング・エンディング制作、CGアニメーション制作を担当。 現在、フリーのデザイナー、白鷗大学非常勤講師 2006年 富岡製糸場シンボルマークデザイン 審査員 2011年、2012年 群馬県立女子大学 芸術プログラム 芸術の現場から 県民公開授業 講師 |