白鴎大学 HAKUOH UNIVERSITY

教育学部

教員紹介詳細

教員氏名 唐戸 信嘉(カラト ノブヨシ)
職名 准教授
最終学歴・学位 立教大学大学院文学研究科博士後期課程修了・博士(文学)、セントアンドルーズ大学大学院・MLitt
専門分野 英語圏文学・文化、翻訳、ナショナリズム
学協会活動 日本英文学会、日本ハーディ協会、日本ヴィクトリア朝文化研究学会
【主な著書・論文等】
著書
『ドラキュラ』(ブラム・ストーカー著、翻訳及び解説)(光文社古典新訳文庫、2023)
『ゴシックの解剖——暗黒の美学』単著(青土社、2020)
『オリバー・ツイスト』(チャールズ・ディケンズ著、翻訳および解説)(光文社古典新訳文庫、2020)
『ロビンソン・クルーソー』(ダニエル・デフォー著、翻訳および解説)(光文社古典新訳文庫、2018)
『鳥と人間をめぐる思考』共著(勉誠出版、2016)

論文
『指輪物語』における木の表象——宗教的古層への回路(単著)『大みか英語英文学研究』25号 (pp.25-35)
The Locals as Folk and Folkloristic Ideas in Thomas Hardy's The Trumpet-Major (単著)『ハーディ研究』44号 (pp.70-78)
トマス・ハーディ作品におけるコーンウォール——その神話的空間への変貌の過程『武蔵野美術大学研究紀要』46号(pp.19-25)
Jude the Obscure における「婚姻」と「家族」の概念——1890年代イギリスの人類学的議論を踏まえて(単著)『英文学研究 支部統合号』6号 (pp.125-131)
Historical Sense and Regionalism in The Return of the Native: Thomas Hardy and the Philologist William Barnes(単著)『ハーディ研究』39号 (pp.84-95)
【問題関心】
近代イギリス文学・文化

近代という時代の文化全般に興味があります。私たちの生きている時代もまた近代ですが、この近代という時代は18世紀ごろから始まり、私たち人間の考え方、ものの見方、価値観、イデオロギーを決定づけました。現代に生きる私たちが抱えている社会的な問題も個人的な問題も、その多くが18世紀ごろに端を発しています。この近代という時代の文化を広く考察することで、21世紀に生きる私たちを包み込んでいる様々な問題の手がかりを得ることができます。
主としてイギリスの文学を研究していますが、近代が進行すればするほど文化間の交流は活発化するので、対象とする国や文化はイギリスだけにとどまらず、隣接する国へ及ぶこともあります。また文学を研究対象としていますが、文化は多面体ですので、政治や経済、文化史全般にも等しく関心があります。特に、近代という時代を特徴づけるナショナリズムの勃興と、ナショナリズムが「国家」「文化」「個人」といった観念にどのような影響を与えたのかについて強い関心を持っています。
【現在の研究テーマ】
目下、主として研究しているのはゴシック小説の発展です。ゴシック小説は18世紀にイギリスで生まれた小説ジャンルですが、現代の推理小説、サスペンス小説、SF小説などのジャンルの起源であり、21世紀のエンターテイメントを考える上でも欠かすことのできない潮流を作り出しています。ゴシック小説の潮流を研究することで、私たちは近代という時代の一つの特徴を摘出することができます。それはとりも直さず、近代人である私たち自身の研究になるはずです。
【学生へのメッセージ】
文学を研究する、学ぶというのは、単に物語を楽しむだけではありません。物語を楽しむのもとても大切な経験ですが、文学(書かれたテクスト)には物語だけではなく、その文学を生み出した文化、時代精神、価値観、コスモロジーが反映されており、多角的に読み込むことでさまざまな情報を引き出すことのできる重要な史料です。文学の多層的な読解を通じて、文化と歴史の海へと飛び込んで行きましょう。古い物語は必ずしも古臭く感じるものではありません。意外なほど私たちに似た人間の姿をそこに発見することができるものです。したがって歴史を学ぶということは、必ずしも古い世界を覗きこむことではありません。遠い場所や時間の中に、意外なほど身近なものを発見することがあります。自分とは無縁と思われた世界に、自分自身を発見することもあります。
【担当主要科目】
TOEFL、TOEFLⅠ・Ⅱ、フレッシュマンセミナー、卒業研究、英語文学A・B・C、英語文学概論、課題研究、ゼミナール、専門特講(論文作成のための基礎)