白鴎大学 HAKUOH UNIVERSITY

教育学部

教員紹介詳細

教員氏名 齋藤 正憲(サイトウ マサノリ)
職名 准教授
最終学歴・学位 早稲田大学大学院文学研究科史学(考古学)専攻博士後期課程中退・文学修士
専門分野 文化人類学、地域共創(SDGs)
学協会活動 日本西アジア考古学会(総務担当役員)、東南アジア考古学会(運営委員会委員)
【主な著書・論文等】
【著 書】
2012 『土器づくりからみた3つのアジア:エジプト、台湾、バングラデシュ』, 創成社.
2015 『境界の発見:土器とアジアとほんの少しの妄想と』, 近代文藝社.
2018 『ロクロを挽く女:アジアの片隅で、ジェンダーを想う』, 雄山閣.
2019 『呪術師のいる風景』, 東京図書出版.

【論 文】
2009 「世帯内生産としての土器づくり」『台湾原住民研究』13, 112-133.
2010a 「覆い焼きから窯焼きへ:台湾原住民アミ族による籾殻覆い焼き」『歴史民俗研究』7, 板橋区教育委員会, 1-26.(第8回櫻井徳太郎賞大賞受賞論文)
2010b 「土器をつくるのは女性か?男性か?」菊池徹夫(編)『比較考古学の新地平』, 同成社, 884-894.
2010c 「台湾原住民の土器づくりから何がわかるか:比較民族誌のすすめ」村井吉敬(編)『アジア学のすすめ』2, 弘文堂, 61-87.
2010d 「バングラデシュ・チョウハット村の土器づくりⅠ」『東南アジア考古学』30, 91-99.
2011a 「伝統と革新」『台湾原住民研究』15, 79-111.
2011b 「バングラデシュ・チョウハット村の土器づくりⅡ」『東南アジア考古学』31, 97-106.
2012a 「天井のある窯、天井のない窯」『西アジア考古学』13, 63-71.
2012b 「バングラデシュ・プレムトリ村の土器づくり」『東南アジア考古学』32, 75-83.
2013a 「バングラデシュ・チッタゴンの土器づくり」『貝塚』68, 9-19.
2013b 「ツタンカーメン王墓副葬土器の規格性について」 吉村作治先生古稀記念論文集編集委員会(編)『永遠に生きる』, 中央公論美術出版, 185-193.
2013c 「境界/辺境論序説」『教育と研究』32, 1-21.
2014a 「インドネシア・ジャワ島西部、ブミジャヤの土器づくり」『貝塚』69, 1-9.
2014b 「パイワン古壺は誰がつくったのか?」日本順益台湾原住民研究会(編)『台湾原住民研究の射程:接合される過去と現在』, 南天書局(台北), 167-179.
2104c 「昇焔式窯は如何にして生まれたか?」『東南アジア考古学』34, 49-58.
2015a 「窯焼きと覆い焼き」『西アジア考古学』16, 1-11.
2015b 「ネパールは周辺か? 亜周辺か?」『貝塚』71, 1-11.
2016 「ロクロを挽く女」『東南アジア考古学』36, 35-46.
2017a 「海を渡った龍窯」佐々木達夫(編)『中近世陶磁器の考古学』第6巻, 雄山閣, 319-335.
2017b 「コビラージ」『埼玉学園大学紀要』17, 77-88.
2018a 「乾燥の戦略/湿潤の思考」『教育と研究』36, 19-34.
2018b 「呪術師の誕生」『埼玉学園大学紀要』18, 27-36.
2019a 「浅見五郎助になるということ」『古代』145, 205-217.
2019b 「浅見五郎助、つくる」佐々木達夫(編)『中近世陶磁器の考古学』11, 雄山閣, 307-320.
2020a 「童乩と扶鸞」『埼玉学園大学紀要』19, 39-51.
2020b 「古代エジプト神話の構造」吉村作治(編)『オシリスへの贈物:エジプト考古学の最前線』, 雄山閣, 71-79.
2020c 「死者を悼み、生者を扶く:スリランカの呪術師」『早稲田大学教職大学院紀要』12, 1-15.
2020d 「プリンガウ:台湾の女性呪術師」『埼玉学園大学紀要』20, 43-55.
2021a 「コロナ時代の遠隔教育」『早稲田大学教職大学院紀要』13, 55-66.
2021b 「或る地域おこし協力隊員の小さな物語」『白鴎大学教育学部論集』15(2), 31-49.
2022 「南島素描01:石垣島のユタとツカサ」『白鴎大学教育学部論集』16(1)(forthcoming).
【問題関心】
 ピラミッドに憧れていた私は、学部・大学院ではエジプト考古学を専攻しました。現地調査に参加する機会を頂戴し、10年ほどは発掘に明け暮れました。思い返せば、まさに、私の青春でした。そして、発掘現場からは色んなものが出土しますけれど、そのなかでも私は土器に興味を持ちました。土器は、粘土を焼き固めただけのシンプルな工芸品ですが、朽ち果てることがなく、しかも、世界中どこにでもあります。暫くは、寝ても覚めても、土器のことばかりを考えていました。さらに、いつしか関心は土器をつくる陶工へと移っていき、アジア各地の土器づくりを見て回ることに。台湾、バングラデシュ、インドネシア、ネパール、インドを訪ね歩き、気がつけば、比較文化論・アジア文化論を考究するようになっていたのです。そう。そして、あれは、バングラデシュで調査していたときのこと。ある人物が夢のお告げで呪術師になったというのです! そんなこと、ある? 衝撃を受けた私は、今度は、呪術師に会うために、バングラデシュ、スリランカ、台湾を訪れました。こんなにも科学技術が発達し、グローバルな現代においても、目を凝らせば、呪術師は逞しく活動しているのです。現在では、呪術に関する文化人類学に夢中になっています。
【現在の研究テーマ】
 コロナ禍に見舞われた2021年度、呪術師に会うために海外に出かけることはできませんでした。この状況はまだまだ続きそうです。そこで、沖縄・石垣島におけるフィールドワークに着手することとし、8月と11月の2回、調査を行なってまいりました。青い空、美しい海、のんびりと流れる島の時間、泡盛、オニササ… 石垣島は最高でした! 2022年度も、継続的に沖縄研究を進めたいと考えています。
 また、2021年12月20日には、栃木県民球団(ゴールデンブレーブス)との間で、「地域共創と人文知:まち・ひとづくりに関する新しい価値の創造」というテーマの共同研究をスタートさせました。研究をしっかりと推進するために、地域共創センターをあわせて設置し、希望するゼミ生には研究員としてメンバーに加わってもらいました。目下、来シーズンに向けて、打ち合わせを重ねているところです。この地域共創センターの扉は常に開かれています。ぜひ、一緒に取り組んでみませんか?
【学生へのメッセージ】
 私にとっての初めての海外経験は、エジプトでした。それはそれは、あまりに衝撃的で、暫くは、エジプトに夢中になりました。でもそれは序章でしかありませんでした。紆余曲折を経て、その後、さまざまなアジアを彷徨うことに。そうこうするうちに、諸文化を俯瞰し、比較する感覚が何となく、分かってきました。アジアの片隅で、頭に浮かんでは消える「アジア観」。ほとんどは、先賢の足跡をなぞっただけに過ぎませんでしたが、それでも、自力でそこにたどり着けたことに、えも言われぬ爽快感を覚えたものです。そして近年では、呪術を通じて、人間文化の内面を覗き込む愉悦を味わってしまいました。フィールドで得られる感動と興奮、他者と向き合うことで朧げに浮かび上がってくる「本質(のようなもの)」。これらは、研究活動の「ご褒美」だと思います。こんなにも愉しいこと、経験しないなんて、モッタイナイ! 大学で過ごす4年間は、研究にどっぷりと浸かることを許された、とても贅沢な時間だと思います。そりゃあ、大発見なんて、できません。でも、興味のあることを突き詰めて考究した経験は、かけがえのない財産となるはずです。どんなテーマでもいいのです。臆せず、一歩を踏み出してみては、いかが?
【担当主要科目】
比較文化論A・B、文化人類学A・B、心理学特別研究A・B、教職実践演習(中・高)、教育実習の事前指導S(社・公・商)、教育実習の事前事後指導S、卒業研究、ゼミナール、中等教育実習Ⅰ・Ⅱ、心理学研究法、教養特講(SDGs実践演習)、フレッシュマンセミナー