白鴎大学 HAKUOH UNIVERSITY

経営学部

海外留学プログラム

異文化体験報告書

2018経営学部海外留学プログラム 
Tacomacommunitycollege 私の異文化体験

~良い国・良い文化とは~

伊藤 実那

ステイ先の自分の部屋から見える景色(出発の朝の写真)

留学前、私は「日本が一番いい国」「生まれ変わっても日本に生まれたい」と考えていた。しかし、この3か月の留学で、その考えは少し変化した。もちろん日本を好きな気持ちに変わりはない。ただ、カナダで過ごしている間、いくつもの驚き・感心に出会い、一つ大きな疑問が浮かび上がった。それは「良い国・良い文化とは何か」ということだ。

人々に「良い国・良い文化の条件は何か」と尋ねると、大抵の人は「平和・治安がいい」「人がやさしい」「平等」などと答えるだろう。果たして、日本はどれだけの条件に当てはまるかどうかを改めて考えると、少なくはないが特別多くはないのではないだろうか。ここでは、私自身がカナダのビクトリアで体験したことを元に、カナダ(ビクトリア)と日本との違いについて述べていく。

まず初めに「バリアフリー」についてだ。私がバリアフリーに関して一番驚いたのは、公共バスの仕組みだ。全ての公共バスに、スロープ・折りたためる座席が付いている。スロープは足の悪い方や車椅子の方の乗り降りの際に運転手が操作し、彼らの手助けをする。彼ら自身で乗り降り、座席や降車口への移動が困難な場合は、運転手が自ら手を貸したり、他の乗客に手を貸すよう促したりしていた。また、折りたためる座席は、車椅子を使用している方が充分にスペースを確保できるようにするために存在している。私はその光景を目にし、その優しさに感動した。さらに、その優しさが市民にとって当り前であることにとても尊敬した。

次に人々の優しさについてだ。私が友人とバスを降りた後に、バスを降りることを一瞬ためらったせいか、同じバス停で降りた男性が「何か手助けしようか?」と話しかけてくれた。私たちは特に困っていなかった為、感謝の意を伝え断ったが、彼の優しさがとても身に染みた。また、ホームレスに関しても私は人の優しさを感じた。ホームレスにいらなくなった衣類を寄付するためのボックスが、校内や街の至る所に設置してあった。私にとってそれらはとても異様な光景だった。日本では、必要なくなった衣類は捨ててしまうか、古着屋で売ることが普通だからだ。さらに、ホームレスと気さくに話したり、挨拶を交わす人が街の至る所に居たり、バス料金を払えないにも関わらず、ホームレスをバスに乗せたり、日本では見られない光景がたくさんあった。日本でも、ホームレスを支援する団体が存在しており、定期的に炊き出しなどを行っているようだが、世間一般的な視点からみると、ホームレスを見下すようなマイナスな目で見ている人がたくさんいるのではないだろうか。

最後は休日の過ごし方についてだ。日本で祝日と言えば、サービス業以外の職種でも出勤をしたり、デパートやテーマパークなどに遊びにいったりすることが多い。しかしカナダでは、祝日のダウンタウンはとても静かだった。多くの商業施設が店を閉めており、街を歩く人もほとんど見られなかった。祝日は家族や親戚とお祝いの食事をすることが一般的なようだ。もし日本でそのようなことがあれば、多数のクレームが寄せられることだろう。

3か月という短い期間だったが、カナダという国に加えて日本という国がどのような国であるかが浮き彫りになった。日本人、特に都会に住む人々は、他人に関する興味が薄いのではないだろうか。また、偏見が強く、同じ日本人の間でもいじめなどの人権に関する問題が多発している。今の日本はグローバル化が進んでいると同時に、2020年の東京オリンピックの開催に向かい準備が進められている。バリアフリーや工夫された表記の方法など、外側のグローバル化は進んでいるが、国民性はまだまだグローバル化には程遠いのではないかと強く感じた。