白鴎大学 HAKUOH UNIVERSITY

経営学部

海外留学プログラム

異文化体験報告書

2018経営学部海外留学プログラム 
Tacomacommunitycollege 私の異文化体験

-ステレオタイプを超えていけ-

小島 隆之介

私のアメリカでの三か月に及ぶ留学生活は、留学前に私が想像していたものとは良くも悪くも大きく違った。しかし想像通りではないことの数々が、この留学生活をより充実させた大きな要因であったといえる。

 留学一日目から一か月目はアメリカの生活や英会話に慣れることができず、体力的にも精神的にも辛い毎日であった。伝えたいという気持ちは十二分にあるのに英会話力が乏しいために伝えることができない。そして、それは多大なストレスを生んだ。解消方法はあまり見つけられず、ひとり夜中に自暴自棄になることも時にはあった。その度に留学を決めた起因を想い出すことで、前を向くことができた。浅はかな考えではあるが、アメリカでの生活が始まれば、それと同時に英語を流暢に話せるようになると思っていた。

アメリカの生活や英会話に対して慣れを感じたのは二か月目半ばに入ってからだ。不思議とホストファミリーとの会話や現地で仲良くなった友だちが話す英語を聴き取れるようになっていた。全てを理解することは出来なかったが、常に互いが伝える努力と聴く努力をしたことは間違いなかった。ホストファミリーは夕食の時間になると必ず毎日この様に尋ね合う。「How was your day?」今日の学校での出来事、体調はどうかをファミリー全体に向けて話すことが習慣化されていた。特に話すトピックがなければその日に抱いた小さな疑問でも構わなかった。この習慣に慣れてきたある日、ホストマザーの目を見てこう問い掛けた。「Why do we discuss on this time every day?」ホストマザーはこの質問に対してまず先に、笑みを添えて「Good question.」と返し、このように続けた。「Because this is American culture.」話を共有することで家族の絆はより深くなると、ホストマザーは聞き取れず何度も聞き返す私に丁寧に教えてくれた。そして、あなたも既に家族の一員になっていると伝えられた。高等学校に通っていた頃から自分はアルバイトをし、両親が常に多忙なことから家族でまとまって夕食を取ることが少なかった。この文化と習慣に誰よりも近距離で触れた毎日が、改めて家族の大切さを気づかせてくれた。

タウリーフという名前の留学生と十日間を共に過ごした。ある夕食の時に、ホストマザーから新しい留学生が来週この家に来ると伝えられた時は不安な気持ちはなく、新しい友達ができるという喜ばしい気持ちだった。年齢は自分より一つ年下でデンマークからの留学生だという。多くの人がデンマークに住む人々は皆大きな体と白い肌をしていると想像するだろう。自分もそのうちの一人だった。タウリーフと初めて顔を合わせた時に自分がどの様な顔をしたのかは分からない。驚いた顔をしたのか、それとも不思議なものを見るような顔をしていたのか。彼はインドからデンマークに移住した、いわゆる移民であった。人は経験したことがない事が起きた時には表情を偽ることができない。自分がしたあの時の表情は彼を傷つけてしまったのか、留学を終えた今でも考えてしまう。日本という国規模であれば既にグローバル化をしているが、果たして私たちはどうだろうか。私たち日本人はグローバルな考え方ができているだろうか。多くの日本人は外国人や外国文化に触れる機会が少ないためにメディアやSNSで手に入れた情報に影響されやすく、外国に対して様々なステレオタイプを抱えている。多言語力を身に付けることだけで留学を終えるのは、少しばかり惜しいのではないだろうか。日本では体験、経験できないものが外国には数多く存在する。その中でも様々な文化や人種が多く交差し続けているアメリカ合衆国は、日本人にとって最適な留学先であるといえるのではないだろうか。