白鴎大学 HAKUOH UNIVERSITY

経営学部

海外留学プログラム

異文化体験報告書

2018経営学部海外留学プログラム 
Tacomacommunitycollege 私の異文化体験

-留学で得た学びと異文化-

相澤 美羽

私は今回の留学において、グローバル社会における異文化との関わり合いかたを知ること、また新たな場所でどのように人とコミュニケーションをとるかを課題に留学に臨みました。
この3ヶ月は楽しかったこと、苦しかったこと共に経験をした、今までで一番濃い3ヶ月だったと感じます。そのなかで異文化との関わり合いについては、様々な経験から自分にとって新たな学びを得ることが出来ました。

学校やクラスでは多様な国の人と交流する機会があり、グループワークなどを通じて仲良くなることが出来ました。しかし私のクラスは日本人が多く、ほかの同じ国同士でもかたまって、自分たちの言葉で話をしてしまうことが多くなることがありました。必然的に英語に触れる時間が少なくなってしまうことを不満に感じたので、私はそれを解消するために、グループになる時には他の国の人とチームになるように努めたり、空いた時間に国際交流室へ行き交流するなど自分から積極的に行動して、少しでも英語を聞いたり話したりする機会を自分からつくるようにしました。国際交流室ではお菓子を食べながら、色々な国の生徒たちやメンターという助言を行う顧問の方々と一緒に、ゲームやアクティビティをして交流することが出来ました。ホスト宅でも家族でゲームやスポーツをする機会があったのですが、ゲームやアクティビティ、スポーツといったイベントを一緒になって行うことで、接する機会になったり、活動を通じて仲良くなることができたりと、たとえ上手く話すことができなくても人と距離を縮めることはできると感じました。何より、私は会話中に人の話を聞く余裕がないくらい自分の英語の文法や、言い方が間違っていないかを頭の中で考え込むことが多かったのですが、その時は純粋にゲームを楽しみ、会話を楽しむことができました。
学校だけでなく普段の生活でも異文化を感じる時がありました。特にアメリカの文化について、私は事前に調べたり聞いたりしていたつもりでしたが、実際にはそのようにして知ったもの以外にも、現地で多くの異なる習慣を経験しました。
アメリカは基本的に歩行者優先で、信号のない道路を渡る時は大抵の車が止まってくれました。日本で信号のない道路を渡る時には車が通り過ぎるのを待っていたので、日本よりも歩行者のために止まってくれる車がずっと多いことは、思いがけない発見でした。アメリカが歩行者優先であるのに対して、日本は歩行者優先を謳っているとしても、実質的には車優先になってしまっているのではないかと思いました。しかしアメリカはバスの運行や物事の開始時間など時間にルーズな面もあり、日本の正確な運行状況など時間を守る性格は改めて優れていると感じました。これによって比較することで自分の国の現状についても考えさせられる良い機会となりました。
また、家族や子供をとても大切にしていて、子供のために車を買い替えたり、週末に家族で集まってご飯を食べたり出かけたりする時間をとったり、冠婚葬祭の時には休みがもらえ、家族で過ごす事ができたりなど、その習慣に魅力を感じました。
アメリカのレストランでは、店員とお客さんの距離が近く、友達のように話しながら接客するということが見られました。これは日本における接客がお客様を敬うという姿勢なのに対して、アメリカの一般的なお店ではお客が店員と対等に近しい関係を望む傾向にあるのではないかと考えました。アメリカにはチップ制度があり、店員は最低賃金の他に、担当したお客から満足度に応じたチップを貰うのですが、中にはチップを主な収入源にしている人もたくさん居て、彼らは自らお客に対して積極的な接客をしようとします。私は、チップ制度は日本でも改良して取り入れることができれば従業員の意欲の向上につなげることができるのではないかと考えました。
また、日々この場所で過ごすなかで、アメリカに住む人は人に対して、相手がたとえ外国人だったとしても初めのうちはゆっくり話すということはしないと気付きました。後に、それは相手に対して冷たく接しているのではなく、差別をしないためだと分かりました。現に、アメリカには日本よりもはるかに多くの外国人が生活しています。同じ日本人でも、英語を母国語として育った人と、日本語を母国語として育ち、英語が不慣れな人がいることはありえます。その人個人の背景は、見た目だけでは分かりません。異なる人種が入り混じった国であるアメリカは、様々な背景を持った人が居るため、見た目や先入観で相手を判断しないという習慣があるのだと思いました。これは多民族国家ならではの配慮であり、外見よりも中身を大切にする考え方は、私たちも見習うべきだと思いました。

そして、私はこの留学の経験のなかで、気持ちを伝えることは特に重要だと感じました。
まず感情の表現についてですが、アメリカ人は日本人よりも感情をストレートに表現することが多いと感じました。実際に、大人でも嬉しいときに声を上げて全身で喜びを表現したり、不満や納得出来ない時は態度に表したり、会社に対してボイコットをしたりといった、自身の気持ちを公で表現する姿を時々見かけました。
日本人は顔に出さないと言われますが、日本の文化では、感情をはっきりと顔に出すことは大人気ないと見られることが原因ではないかと考えました。一方でアメリカは、日本のように気持ちを表すことに対する妨げがないためではないかと思いました。
次に言語表現ですが、アメリカでは意思表示が重要であるという意識が強く、個々の異なる主張については寛容な性格を持っていると感じました。アメリカは移民の国であり、みんなそれぞれ考え方も価値観も異なるので、自らの主張ははっきりとしなければ伝わらないという考えがあることを知りました。日常生活でも個性のある独自の発言や見解を求められることが多いように感じました。
また、日本のように相手に察して欲しいといった態度は相手には正確に伝わらないことが多いと感じました。私がこれを特に感じたのは、ホストとの関係間です。
私は、朝少し体調が悪く、あまり食欲がなかった時に、ホストに体調を聞かれ、心配をかけたくなかったため元気だと答えたのですが、朝ご飯に大きなハンバーガーがでてしまい、自分の発言を後悔しました。その時はホストに訳を話して自分で軽めの食事を作り食べましたが、それからはできるだけ自分の気持ちを素直に伝えるように心がけました。
日頃長くいる分、どうしても相手に言わなくても分かってほしいと思ってしまいますが、それも日本人特有の考え方だと気付かされました。
一方で、日本には本音と建前の文化があると言われますが、アメリカでも同様に本心をストレートに言わないという場面がありました。ホストマザーが家族のためにつくったクッキーを焦がしてしまったことがありましたが、ホストファザーが十分美味しいよとマザーを元気付けていました。相手が一生懸命につくったものが良いもので無かった時など、その時の相手を気遣う言葉は日本の思いやりに通ずるものがあると思いました。
自分の考えや意思は言葉にしないと相手に正しく伝わりません。それは本来相手とコミュニケーションをとるため重要なことだと改めて気付きました。
私が感じたのは、日本では気持ちを察する、空気を読むといった文化がありますが、アメリカでは相手側がこちらの気持ちを察してくれると期待するべきではないということです。黙っていては何も伝わりません。しかし、そのぶん自分が言葉に出したことはみな真摯に受け止めくれ、私の発言を信頼し、それに応えてくれました。直接言葉でコミュニケーションをとることではじめて相手の状態や気持ちを正確に知ることができると、私のホストマザーが話してくれました。私も気持ちを言葉として出すようになってから、ホストとの距離を一層縮めることができたと思います。

私は、このプログラムによって本当に自分の為になる経験ができたと思うことができました。
今回の留学で英語の勉強をするなかで、新しいことを学ぶ時にも間違いを恐れないこと、人と自分の出来を比べないことなど、学びに対する姿勢を学びました。これらはこれからにも活かすことのできるものだと思います。
実際にアメリカで生活してみて、それまで海の向こうの出来事だったものが、暮らしに身近なものになり、私自身初めてしっかりと世界の情勢に目を向けて物事を考えるようになったと思います。日本にいた時よりも広い視野を持つことができ、多種多様な価値観に触れることで、私の物事の考え方も少しずつ変わっていきました。
これらの経験ができたのも、留学の機会を与えてくれた親、支えてくださった方々、先生方、ホストファミリーのおかげです。この留学は私の人生の中の大切な思い出であり、財産になったと心から思います。
これからも留学で培った英語の力を無駄にしないよう、更に勉強を続けていきたいと思います。