白鴎大学 HAKUOH UNIVERSITY

経営学部

海外留学プログラム

異文化体験報告書

2017経営学部海外留学プログラム 
Tacomacommunitycollege 私の異文化体験

様々な人間性

金田 磨周

私が経験した異文化経験は、留学期間中に様々な国からの異なるバックグラウンドを持った人と出会う中で感じた人間性の違いです。3ヶ月という限られた期間での留学生活でしたが、たくさんの人と触れ合った中で一番印象に残っているのは、日本とは全く異なる人との距離感です。アメリカに着いた直後、これからの生活を楽しみにしていた反面、新しい環境に慣れることへの不安で一杯の状態でホームステイ先に到着すると、ホストファミリーが私のことを暖かく「Welcome Mashu!」本当の家族のようにハグで迎え入れてくれたことで、抱えていた不安が一瞬でどこかへ吹き飛んだ気がします。日本では経験したことのない感覚だったので、これが異文化かと留学生活初日ながら、少し衝撃を受けました。それからアメリカでの生活が始まり、まず初めに驚いたことは挨拶の文化です。ホストファミリーや現地で出来た友達だけでなく、飲食店や衣類店の店員さん、バスの運転手、さらに目があっただけの通りすがりの人達ですら、「Hi.」や「How are you?」と私に挨拶を求めてきました。初めのうちは、日本とは完全に異なる文化だなと驚きましたが、時間が経ち慣れてくるにつれて、「Good. How are you?」と自然に口から出てくるようになり、更にはそこから会話へと繋がる場面も徐々に増えてきました。登校の際に利用していたバスの運転手に笑顔で挨拶されると、一日を気持ちよくスタート出来ていたような気がします。挨拶される度、気分が良くなるのと同時にその素晴らしい文化に感銘を受けました。また、学校で授業が終わりカフェテリアで休憩していると、全く知らない人が私の隣に座り話しかけてくれたり、道端で日本人の友達と日本語で会話していると、側にいた人が興味を示して「Where are you from?」と声をかけてきたりと、日本では考えられないような場面にたくさん遭遇しました。そして、何より距離感が近いと感じた一番のポイントは友達やホストファミリーと日常的に行うハグです。日本にいる時は、家族や親友とすら滅多にハグを経験したことがなかったので、海外の映画やドラマでハグという文化について知ってはいたものの慣れるのには時間かかりました。日本にいると、家族や友達に日々の感謝や愛を伝える機会はなかなかないので、ハグという行為で日常的に感謝や愛の気持ちを示せるというのは非常に便利だし、尊敬すべき文化だなと思います。

アメリカで約3ヶ月間生活して、日本ではなかなか経験しない、日本人の人間性からは考えられないようなシチュエーションがたくさんありました。まず、一つ目にアメリカ人の周りの人に対する意識です。バスや電車などの交通機関を利用する際、車内で全く周りの目を気にすることなく、イヤホンで大音量の音楽を聴く人、大きい声で誰かと電話で通話する人、運転中のバス運転手の話す人など日本のマナーでは考えられないようなことが日々、私の周りで起きました。学内や通学路、街中を歩いていて日本にいる時と比べて、全く人と目が合わないなと感じました。比較的周りの目を気にする日本人のタイプとは異なっていて非常に面白い発見でした。日本なら非常識に値する行動がアメリカでは常識なのかと疑問を抱き、現地の友達に「What do you think about them?」と尋ねると「I don’t care at all.」という答えが返ってきて、価値観の違いを認識させられました。これがマナーの違いかと、若干のカルチャーショックを受けたのと同時に、私も、常識の範囲内で周りの目を気にせずに生活できたら楽だろうなと憧れを抱きました。2つ目に優しさ、思いやりです。一番衝撃を受けたことは、交通マナーにおける歩行者優先という考え方です。アメリカに来るまでは、日本と比べてドライバーの運転が荒く、交通マナーに対する規制も緩いと思っていたのですが、実際にはそのイメージとは正反対で、日本のようにエンジン音を立ててスピードを出す車も滅多に見ないし、私が道路を横断しようとすると、ほぼ確実に車を止めて手でサインを出し、渡っていいよと歩行者の私を優先してくれます。アメリカ人の意外な一面を知れました。また、ドアを他の人のために支えるという素晴らしい文化は前から知っていたのですが、いざその場面に出くわす度に、改めて素敵な文化だなと認識させられていました。

私が留学期間中に経験した異文化は、どれも素晴らしいものばかりではありませんでした。到着直後、学校でオリエンテーションがあり向かっている途中に、通りすがりの人から「Excuse me. Do you have 2 dollars?」と聞かれ、衝撃を受けたのを覚えています。それだけではなく、3ヶ月という短い期間ながら、数え切れないほどお金を求められました。また一番悪い印象を受けたのは、お店での店員さんの態度です。日本での丁寧な接客に慣れすぎているということも、アメリカでの接客が冷たいと感じた一つの要因かも知れませんが、レジの前に長い行列が出来ているのにも関わらず、全く作業のスピードを上げようとせずにのんびり他の店員と話していたり、長い行列に腹を立てて接客にもその態度をぶつけたりと、おもてなし文化として評価を得る日本の接客からは想像もつかないようなことが、日常で頻繁に起こりました。カルチャーショックを受けた反面、改めて日本人の親切な人を気遣える心と、丁寧な接客を心から誇りに思いました。

アメリカでの約3ヶ月間という短期間で得た経験は、すべてが新鮮で驚きで、非常に勉強になったし、間違いなくこれからの人生においてのストロングポイントになると確信しています。「人種のるつぼ」と呼ばれるアメリカで、それぞれ異なるバックグラウンドを持つ様々な国の人達と出会い、英語という共通言語でコミュニケーションを取る中で気づけた異文化は、私の一生の財産です。海外留学プログラムに参加して、そしてアメリカを留学先に選んで本当に良かったと心から思います。