白鴎大学 HAKUOH UNIVERSITY

経営学部

海外留学プログラム

異文化体験報告書

2015経営学部海外留学プログラム 
Bellevue College 私の異文化体験

―thanks giving day―

田中 景

留学を通し多岐にわたる経験、体験をすることができた。ここでは、サンクスギビングデイにのみ焦点を当てていく。サンクスギビングデイとは、何のために存在するのか一日の家族の動向を観察し考察するとともにサンクスギビングデイの魅力に迫る。

サンクスギビングは文字通り感謝する日を表す。この日は神々に収穫の恵みを感謝する。新天地を求めて清教徒一団は祖国イギリスから2ヶ月余りの厳しい航海を経てアメリカ大陸に渡った。しかし、厳しい寒さの冬により思うように作物を育てることができなかった。食べるものに困った一団に、先住民のネイティブ・アメリカンは食糧を分け与え栽培方法も伝授した。彼らは、大自然の暮らしの様々なノウハウを教えた。一団は、お世話になったネイティブ・アメリカンたちを招いて、初めて収穫した作物や山で獲った野生の七面鳥などを食卓に載せてお祝いの席を開き、彼らと神の恵みに感謝した。以上のことからサンクスギビングデイとは、先住民と作物を収穫できた恩恵に対する敬意の念を表するものであることがわかる。ここから感謝の意味であるthanks。感謝の気持ちを送るgiving。すなわちthanks giving day になったと私は考える。日本では食前、食後に食べ物に作ってくれた人に感謝する。しかしアメリカでご飯を食べる際に手を合わせて祈ったりする習慣はない。普段しないことだからこそより盛大に行うことで食に対する感謝を表し食の重要性について再確認するのであると考える。

私のホストファミリーのサンクスギビングデイは、母側の姉の家に親戚などが集まった。全員が集まったのを確認するとホストファザーがみんなを一つの部屋に集合させ手をつなぎお祈りを始めた。毎日ご飯を食べられること、子供たちが学校に通えること、今が幸せであることなど様々なことに感謝の気持ちをマザーが述べている間に皆は目を閉じて祈っていた。その後はみんな自由にお酒を飲んだり持ち寄ったご飯を食べたり、北京ダックを食べたりしながら盛り上がっていた。終盤になるとクリスマスはどうするか次はどの家で行うかなどの話し合いをしていた。以上のことからサンクスギビングデイは食に関することだけでなく自分の家族、親せきに起こりうる全ての事に感謝しそのことを祈るために存在するのではないだろうか。そして親戚と集まり幸せな時間を共有していることを感謝し思う存分楽しむためにあると考える。

現在のサンクスギビングデイは、昔とは異なり食に関する感謝だけでなく感謝できうる全ての事に感謝する日だ。私達は、大人になるにつれて感謝することを忘れがちではないだろうか。果たして今こうして好きなことを学べること。今自由な時間を持てていること。そんな些細なことに感謝できているだろうか。感謝することは相手を幸せにする最も簡単で最も効果的な方法であると私は思う。些細なことにでも感謝することができているのならばその人の人生、その人の周りの人の生活も幸福に満ち溢れているはずだ。感謝することは誰でもでき、いつでも始められる。私にとってサンクスギビングデイを行う最大の魅力は何かに感謝するきっかけを与えてくれるところにある。何かに感謝する時間を持てたなら、何に対して自分は感謝しているのか考えることができたのなら、その時間はあなた自身の心を豊かにしてくれているはずだ。サンクスギビングは、自分自身の身の回りに感謝することでもう一度自分の「今」が幸せであることを確認、再認識し全ての事に感謝することを忘れないための日であるのではないかと考える。いつもアメリカ人がありがとうという言葉を口にするのはサンクスギビングのような感謝祭により感謝することの重要性を知っているからであろう。日本にはサンクスギビングデイは存在していない。しかし、身の回りの物や身近な人に感謝することは自己の努力次第で可能である。感謝することはお金も時間もかからない。感謝することはどこの国どの文化でも大切なことである。感謝することを忘れないで今後の生活を送りたい。

▲ サンクスギビングデイにて