白鴎大学 HAKUOH UNIVERSITY

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白鴎大学フォーラム2019

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白鷗大学フォーラムin大手町

 「第13回白鷗大学フォーラム in 大手町」が昨年11月25日、東京都千代田区の読売新聞東京本社よみうり大手町ホールで開かれた。テーマは「スポーツの魅力と健康」。同大の奥島孝康学長のあいさつに続き、日本ラグビーフットボール協会専務理事を務める岩渕健輔氏が「スポーツの力 〜ラグビーW杯を通して〜」と題して講演。続いて、日本陸上競技連盟理事の瀬古利彦氏らが参加したパネルディスカッションなどが行われ、約500人が熱心に耳を傾けた。

基調講演 桜戦士躍進 3つの理由

桜戦士躍進 3つの理由

岩渕 健輔氏

 ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会では、選手も応援していただいた皆さんも白熱した試合を通してスポーツの力というものを実感されたのではないでしょうか。
 1995年のW杯で日本はニュージーランドに145点取られて大敗しました。そこからベスト8に入るまで日本のラグビーは大きく変わりました。この間、どんなことが起きたのか。私は三つのポイントがあると思っています。一つはスタッフの力。エディー・ジョーンズに続き、ジェイミー・ジョセフがヘッドコーチとして日本代表を率いました。 2人とも選手たちの手が届きそうな目標を掲げ、少しずつ成長していくように指導しました。例えば、トレーニング前後の選手の写真を撮影し、がっしりとした体形に変わったことを見せ、ハードな練習によって成長していることをわからせるようにしていました。
 環境の力もあります。代表合宿を長くして集中的に強化しました。日本代表の選手たちは4年間で約600日の合宿をしました。さらに南半球最高峰リーグ、スーパーラグビーにも参戦し、強い相手に揉まれることで強化を図りました。
 最後のポイントがカルチャーです。今回は「ワン・チーム」というスローガンを掲げて戦いました。日本出身以外の選手が半分いて、「君が代」を歌う練習をするなど、自分たちが戦う前に一つになる準備を入念に重ねました。これら三つのポイントがうまく作用して、ベスト8に進むことができたと思っています。
 今大会を通してスポーツには夢と希望を与える力があることを確信しました。さらに社会の活性化や国際的な理解の促進、そしてさまざまな国との信頼関係の醸成などを図れることも強く感じました。
 それぞれのスポーツに素晴らしい価値があり、社会の中で大きな力を発揮することができるのです。2020年は、それが具体的に示されると思います。そして一過性の盛り上がりだけでなく、その先にスポーツの力を社会に還元できる場を維持していくことも大切になってくると思っています。


真中満

侍Jも盛り上げて

東京ヤクルト元監督
真中満氏

 当日、スペシャルゲストとして野球解説者で、プロ野球・東京ヤクルトスワローズ元監督の真中満氏が登壇。このほど行われた野球の国際大会「プレミア12」で初優勝した日本代表「侍ジャパン」について語った。
 今回の優勝について「稲葉篤紀監督の采配は非常にバランスがとれ、統率力もあった」と評価し、「今後はコンディションの調整と、どう戦術を練り上げていくかが重要になるだろう」と分析した。
 最後にラグビーW杯の盛り上がりを受け、「稲葉監督はもちろん、選手たちも力を集中しますので、ラグビー同様、日本の野球も応援して盛り上げてもらいたい」とスピーチを締めくくった。

パネルディスカッション 多様な情報 向き合う ハワイ大学副総長 ジョン・モートン氏 ロイター日本支局長 ウィリアム・マラード氏 白鷗大学特任教授 後藤謙次氏

出会い、気づき 転機に

瀬古 利彦氏

長田 ここに登壇いただいた方の多くはトップアスリートで、自己表現としてスポーツをしてきました。そこで選手としての転機を話してもらい、それについてきたやま先生にコメントしてもらおうと思っております。

加藤 中学入学の時に転機がありました。野球をやりたいと思っていたのですが、兄が中学・高校と野球に夢中で大学受験に失敗して、「部活動なんかをしたら勉強ができなくなるぞ」と野球を許してもらえなかった。そこで隠れて始めたのが体操競技です。

きたやま 加藤さんの場合、人生が変わる時、ネガティブな情報に心を砕くことの大切さがよくわかりますね。

長田 続いて瀬古さんの転機について教えてください。

瀬古 早稲田大に進学し、中村清監督と出会ったことが転機になりました。

長田 中村監督と1980年のモスクワオリンピックを目指したわけですね。

きたやま おさむ氏

瀬古 優勝候補と見られながら日本がボイコット。次のロサンゼルスでも体調を壊してしまって結果は14位。ソウルでは9位。家に戻ると、当時2歳だった息子と妻が黄色いメダルを作ってかけてくれた。十分頑張ったと。うれしくて泣いちゃいました。結婚してよかったと思いました。

きたやま 瀬古さんのお話は大変面白いのですが、その愉快なキャラというのは幼いときからなのですか?

瀬古 高校までは愉快キャラ。大学で中村監督に「(ライバルの)宗兄弟になめられるから、そのキャラを捨てなさい」と言われて寡黙な修行僧を演じていました。

加藤 澤男氏

長田 さて、岩渕さんは青山学院初等部3年の時からラグビーをしていますね。

岩渕 私には転機になった場所が3か所あります。香港、東京・渋谷、英国です。香港へは小学生の時、7人制ラグビーの試合を観戦に行き、その面白さを実感しました。
 渋谷は青学時代です。キャンパスが都心だったので、ラグビーの練習をするグラウンドを確保できない。近くの公園で練習するなど工夫する癖がつきました。
 英国へは青学卒業後に行きました。そこでプロチームに入り、ハードな練習を経験し、このままでは日本は勝てないと痛感しました。それが世界のトップ指導者招聘(しょうへい)につながったと思っています。

きたやま ラグビーW杯を見て、スポーツは勝つことだけでなく、得るものが他にもあると改めて気づかせてくれました。友情や仲間意識、多様な価値観に触れて感動した人も多かったはずです。

長田 渚左氏

瀬古 スポーツと健康ということについても触れておこうと思います。京都大の山中伸弥教授とお話しする機会があって、長寿社会になって健康寿命を長くするためには、やはり体を動かすことが大切だとおっしゃっていました。

加藤 運動をすることは絶対に必要。高齢になって、やったことのない運動をやれと言われても、肝心の脳が「ノー」と言ってしまいますから。

きたやま 運動する自分と向き合い、自分にとってのよい加減を知ることが大事。それが健康寿命を延ばすことにもつながるはずです。

長田 2020年は、スポーツ全般に関心の集まる時期ですが、今日のお話を参考にして、スポーツの力について考えていただくきっかけになれば幸いです。


主催=白鷗大学

後援=読売新聞東京本社

協賛=
リコージャパン株式会社
三和シヤッター工業株式会社
日立グローバルライフソリューションズ株式会社
鹿島建物総合管理株式会社
HARIO株式会社

協力=株式会社読売エージェンシー


本記事は、2020年1月18日付読売新聞(東京版)に掲載された企画広告の内容を元に制作しました。