これからの時代を生きていく若者たちに必要な力を、私は人としての“総合力”だと捉えています。他者や社会と関わりながらも、きちんとバランスをとって自分の立ち位置を見つけ出すことができるその力こそが、人としての“総合力”であり、そうした自身のあり方が、これからの時代には求められていくのだと思います。
そのように考えると、白鷗大学はまさしくこれから社会へ羽ばたく、未来への可能性を秘めた若者たちが、“総合力”を備えるためにふさわしい大学であることに気づかされます。
それは本学が栃木県の県庁所在地と東京という“地方と都市”の2つの極を結ぶ線上に位置していること、さらに新幹線の停車駅としてもにぎわうJR小山駅前に位置する本キャンパスと、思川のほとりにある大行寺キャンパスが、“人工と自然”という対極をなす環境にあることにあります。
地理的に、あるいは環境が二極化する場所に身を置くと、人は最初に不安を感じます。その不安を解消するために、人は改めて自分の存在はどこにあるのかを探究するのです。だからこそ自らを見つめ直し、新たな自分を発見するための場所として、本学がとても恵まれていることがわかります。
また、白鷗大学には経営学部、法学部、教育学部の3つの学部があります。この3学部を俯瞰すると、それぞれの役割とその関係性には社会を形づくる “人の三角形”が築かれていることがわかります。教育学部は心を扱う学部であり、人の内側の学問です。法学部はルールづくりであり、人の外側の世界を形づくるものです。そしてこの両方をどのように調和させるかを問うのが経営学部であり、人の心と社会のルールを統合しマネジメントしていくことが課題となる学問であると捉えられます。
本学の3学部には社会にとっても密接な関連性があり、それは各学部で学ぶ学生たちにもさまざまな相乗効果をもたらします。皆さんにはこの場所で、それぞれの学問を探求しながら他学部の学生たちとの交流を広げ、異なる考えや環境を持つ仲間たちとふれあい、互いに刺激を与え合い、成長していってほしいと考えています。
大学時代を過ごす青年期は、実験や冒険を繰り返し、ときには想像の翼を広げて羽ばたくことも、迷うことも、失敗をすることも許されています。皆さんにはこのキャンパスでそうした経験を存分にしてほしい。そして心の内と外、社会という新たな世界を学びながら、より深く人間性を熟成させていく経験を重ね、未来を生きるために人としての “総合力”を高めていってほしいと願っています。
白鴎大学第6代学長。京都府立医科大学卒業。
ロンドン大学精神医学研究所・モーズレイ病院にて研修、九州大学人間環境学研究院・医学研究院教授を経て、2010年白鴎大学教授、2013年副学長を歴任。2021年4月より現職。
白鴎大学第6代学長。京都府立医科大学卒業。
ロンドン大学精神医学研究所・モーズレイ病院にて研修、九州大学人間環境学研究院・医学研究院教授を経て、2010年白鴎大学教授、2013年副学長を歴任。2021年4月より現職。