白鴎大学 HAKUOH UNIVERSITY

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岩﨑ゼミが「佐野市の防災対策」について提案しました

2025/02/03

自治体行政を研究する法学部の岩﨑ゼミが2月1日(土)佐野市長らに「佐野市の防災対策」についてのプレゼンテーションを行い、「避難所でのプライバシー保護」「水ビジネスで作る災害に強い水道」など4グループで10の提案をしました。


岩﨑 忠 教授(法学部)のコメント

岩﨑ゼミの佐野市へのプレゼンテーションは、私の前任校である高崎経済大学のゼミ生が、佐野市のキャッチコピーを提案し、採用していただいたことに始まります。それ以降、毎年ゼミ生が市の事業に参加させていただき、市長にプレゼンテーションを行ってきました。これまでも小さな拠点づくり(廃校施設の利活用)、ラーメン予備校の自走化、古民家再生といったプロジェクトに参加しました。昨年度は、本学の岩﨑ゼミ1期生が「中心市街地・中山間地域における空き家の利活用事業」に参加させていただき、今年度は、2期生のゼミ生が「佐野市の防災対策」についてプレゼンテーションさせていただきました。

今年度の前期は、学内で専門書の輪読を通じて「防災対策の現状と課題」について全員で意見交換し、知識を吸収することに専念しました。国・自治体・民間企業・地域・市民(ボランティア)等との連携や、災害時だけでなく平時における災害に向けた長期的な視点にたった対策などが重要であることを学びました。その後、対象となる佐野市の特徴、現状と課題を把握したうえで、佐野市の防災対策について、市から地域防災計画等の詳細な資料を提供していただき、その後、質問と回答といったやりとりを何度もさせていただきました。

提案にあたっては、2019年10月の台風19号で被害を受けた佐野市の経験を踏まえた災害時の対応と佐野市が「国際防災拠点さの」を打ち出していることから平時からの長期的視点にたった対応の2つの側面から提案を行うことにしました。具体的な提案に向けては、4つのグループに分かれて意見交換を行い、12月の中間発表、1月には学内の最終発表、そして、2月の市長へのプレゼンテーションに進みました。データ・情報は、内閣府提供の情報やRESAS(地域経済分析システム)等の政府関係機関の情報、帝国データバンクなど民間調査・研究機関が収集した全国データだけでなく、佐野市が独自に実施したアンケート調査、市民から寄せられた意見に対する市の回答など佐野市独自の地域データを参考にしました。その後、佐野市の強み・弱みを打ち出し、他自治体の先行事例等を参考に、エビデンスに基づく具体的な10提案(EBPM:Evidence Based Policy Making)を行いました。災害時に避難所となる体育館に冷房機を設置するという提案は、2025~2026年度の2か年をかけて整備することになるなど実現性の高い提案という評価をいただきました。

こうした岩崎ゼミと自治体との交流は、学生にとって机上の学問だけでなく、実践的な現場を学ぶ機会となっており、教育、研究にとって重要な場と考え、今後、さらに発展させていきたいと思います。


藤森 怜美夏さん(法学部3年)のコメント

私たちのグループでは、避難所での感染症対策や性被害の防止にもつながる「避難所でのプライバシー保護」と、水害廃棄物の処理問題に関連する処理・分別方法のガイドラインを配布・共有し、防災知識を広げるための活動を行う「体験型国際交流イベント」の2つを提案しました。

 提案作成の過程では、グループ内で多くの意見を出し合い、佐野市役所の方々に質問させていただきました。より良い政策案を提案できるよう日々努力してきました。佐野市の特徴を調べるために、岩崎教授のサポートを受け、新聞や佐野市の広報などの情報を活用し、政策案を考えることができました。

 調査を進める中で、佐野市の体育館に冷房機が設置されていないことが判明しました。そこで、政策提案の1つとして災害時に避難所となる体育館への冷房機設置を提案した結果、2025~2026年度の2か年をかけて全ての体育館に冷房機を設置することが決定したと、副市長の飯塚久様からご報告を受けました。実際に提案が実現したことは、私たちにとって非常に達成感があり、喜ばしい出来事でした。

政策提案は初めての経験でしたが、私たちにとって非常に貴重な体験となりました。


大島 裕貴さん(法学部3年)のコメント

私たちのグループでは、若い世代の災害に対する意識の醸成を目的とした防災クイズと地震・風水害疑似体験などの防災教育、ペットの情報登録制度、「国際防災拠点さの」としての物的支援の3つについて提案をさせていただきました。 

第1の防災教育では防災クイズを解いてもらうだけではなく、作問も行ってもらうことで知識を深めることができ、また、ARやVRといった仮想空間を用いた疑似体験を行うことにより楽しみながら防災への関心を持ってもらえるといった点を強調しました。第2のペットの情報登録制度では、避難先においてペットが建物内への連れ込みは不可であり、ペット用品も持参という現状から、情報登録を事前にすることでテントなどの空間の確保、フードやケージといったペット用品の備蓄に繋げることができると考えました。第3の国際防災拠点さのとしての物的支援では、佐野市の特産品(地域資源)である佐野らーめんやスカイベリー等を活用して保存・保管しやすいように加工することで、平時においては佐野市の特産品として年間を通してPRし地域活性化につなげることができ、また、災害時においては「国際防災拠点さの」として物的支援として活用できると考えました。

3つの政策を考えていく中で、佐野市の特徴(地域資源)を活かしながらも、災害に強いまちづくりにできるように、また、地域の活性化にも繋がるような内容にまとめることができ、大変貴重な経験になりました。


鈴木 千尋さん(法学部3年)のコメント                  

私たちのグループでは、避難所生活の長期化のリスクを踏まえた「避難所での健康対策」、国際防災拠点としての強靭化を図り、「防災関連企業の誘致」、「水ビジネスで作る災害に強い水道」の3つを提案しました。

災害時にみられる、物資の不足や避難所生活の困難さに着眼し、平常時、災害時の取り組みについてグループで検討しました。そこで、避難所での娯楽がもたらすストレスの解消や免疫力の向上といった効果を掘り下げました。さらに、災害対策を市内から市外、そして海外へと発展させる体制を整える上で、防災関連企業を誘致することが有効的であること、また、昨今問題となっている水道管の老朽化と佐野市が誇る出流原弁天池や水道管技術を結びつけた水ビジネスの必要性を強調しました。これらの提案をするにあたって、目的や手段、財源を明確にし、課題まで思慮しました。

災害対策に対して多角的に検討した上で提案としてまとめることができ、災害を取り巻く多くの問題を学ぶことができました。


齋藤 心さん(法学部3年)コメント

私たちのグループでは、より多くの方々が「自助」の一環として自ら防災情報を得ることができる「SNS戦略〜Instagramによる防災情報の発信〜」と、佐野市の特産品である佐野らーめんとベトナムの伝統料理であるフォーを融合し、「食」による異文化交流を図る「佐野フォー」の2つを提案しました。

自分で自分の身を守るという「自助」ができる人が増えれば救助を必要とする周りの人々への支援がしやすくなり、必然と「共助」へと繋がります。その「自助」を促進するために、佐野市の地域資源をインセンティブにすることで、より先進的かつ有効的なSNS戦略を考えました。また、佐野市ではベトナム国籍の方が多く在住しているというデータから、双方の代表的な「食」である佐野らーめんとフォーを融合させ、将来、災害時に日本で麦や米を採ることが厳しくなってしまった場合にベトナムの原料で賄うということも視野に入れて、「食」を通した国際的な交流を思案しました。

災害は私たちにとって非常に身近なものになりつつあります。緊急時に備えて防災に関する知識を得ることができるコンテンツとコミュニティを持つための「場」の提供が必要だと改めて学ぶことができました。


参加した佐野市長(前列中央)、岩﨑教授(前列右から2人目)、ゼミ生ら


佐野市の防災対策についてプレゼンテーションするゼミ生


市庁舎内で行われた会場の様子


※写真は佐野市提供


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