小島望講師(法学部)が、2025年度政治思想学会研究奨励賞を受賞しました。
【論文題目】 アメリカ期ハンス・コーンと「西」――ソ連とフランスを手がかりに
小島先生コメント
本論文では、20世紀に活躍した歴史家ハンス・コーンの政治思想を、彼のソ連(共産主義・ボリシェヴィキ)、フランス(フランス革命)についての記述に焦点を当て、時系列的に分析しました。従来、彼は自由民主主義的な西欧と北米(「西」)を称賛したとされてきました。しかし本論文の分析において、彼のそうした「西」への評価は単純な礼賛ではなく、むしろ「西」の危うさに対する警戒的契機をも備えたものであったとの新しい解釈を提示しました。
私がコーンの研究を始めたのは、今から7年ほど前でした。研究者としての自信をほとんど喪失し、経済的にも大変難儀していた時に、ある種の現実逃避として彼の研究を始めたのです。そうした後ろ向きな動機から始めた研究が評価され、あの時、研究者として完全には折れなくてよかったな、ぎりぎりの所で諦めなくてよかったなと、今更ながら思います。万事につけても投げ出しがちな私にこんなことを申し上げる資格はございませんが、本学の学生諸君には、たとえ負けたと、失敗したと感じても、何度でも立ち上がって、巨大な難事に抗ってほしいと思います。
外国史などを担当する小島講師