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PRESIDENT OF HAKUOH UNIVERSITY

MESSAGE 55

2020年度秋季卒業式 学長式辞

2020年度秋季卒業式 学長式辞

2020年度秋季卒業式 学長式辞

学長 奥島孝康


 みなさん、ご卒業おめでとうございます。本日、この卒業式に臨むのは、経営学部13人、法学部4人、教育学部10人の3学部総員27人であります。


 さあ、みなさんは白鷗大学の卒業生の一人として、元気に出発いたしましょう。今回の卒業式は、わが国の卒業式の歴史においては、初めての経験となる「コロナ禍」の中での異例の卒業式であります。その意味で、例年の卒業式とは一風変わった異例中の異例の卒業式となります。それがみなさんにとって、よかったか悪かったか、一概に決めつけることはできません。しかし、そのよしあしはともあれみなさんは卒業するのです。


 そうである以上、この思い出に残る卒業式をぜひとも社会人として心に残る立派な卒業式としようではありませんか。


 これまでにも、コレラやペストがありましたが、時期的に遠い昔のことであり、幸い大学の卒業式に大きな影響を及ぼすことはありませんでした。しかし、このたびのコロナ禍は違いました。ぼくたちは、コロナ禍をあまりに軽くみておりました。しかし、近代医学をもってしても、現在のところ、これを無視して大学の教育というものを考えることはできないのです。むしろ、人類にとって、この問題は、言葉はきついのですが、「共生」を考えねばならないほどの事態なのです。


 このような事態の下での卒業は、残念とか心残りとかの思いが大きくても、それは仕方のないことです。大学というところは、単なる知識の供給所というわけではありません。授業そのものは、教員の一人芝居であり、場合によれば、一人よがりであるかもしれません。しかし、その一人よがりに、その熱気に学生たちは夢中になったり、しらけたり、また学生同士のそれをめぐる侃々諤々の議論であったり、そこから飛び出してきた的はずれの屁理屈であったりして、いわば授業を媒介とする勝手な異論として成り立つのです。そこに濃厚な人間関係ができあがり、そこに大学の授業というものが成り立つのです。オンラインでは、そういう授業をつくり出すことはきわめて困難です。


 オンライン中心の授業の試みには、その成果を考えると、初めてのことだから、というだけではなく、授業として成り立ったのか疑問が残ります。しかし、みなさんは、史上初めてオンラインの経験をしたことは事実です。そのことを大切にしましょう。きっとその中からでも、みなさんは、みなさんなりのサムシングを得ることができたはずです。そこは、これからの大学を考えるキーポイントがあるからです。そして、それはまたこれからの働き方にも大きく影響するからです。答えは、オール・オア・ナッシングではないはずです。つまり、みなさんは、人生の岐路に立つと同時に、これからの人生のあり方をめぐる岐路にも立っているのです。しかし、恐れることはありません。白鷗大学で学んだことをもとにして、じっくり歩んで参りましょう。所詮、人生は冒険なのです。自信をもってじっくりと歩み始めましょう。


 みなさんのご健闘とご多幸を祈ります。