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PRESIDENT OF HAKUOH UNIVERSITY

MESSAGE 5

2014年度秋季卒業式学長式辞

2014年度秋季卒業式学長式辞

2014年度 白鷗大学秋季卒業式・式辞


学長

奥島孝康


みなさん、卒業おめでとう。

心から諸君のこれからの未来の素晴らしからんことを祈っております。

卒業式というのは、これでもって何もかも終わったということではなく、むしろこれが始まりということです。

私達がフランスでいつも聞いていたのは、

「On va commencer!」さぁはじめよう!という意味ですけど、

「commencement」というものが卒業式、つまり出発という意味であります。

ですから、英語でも「commencement」というものが同じように英語になっていて、そしてそれが卒業式という意味になっております。

卒業というのはそういう意味では出発だということを忘れないでください。


諸君の人生の新たなる出発というよりも、社会における本格的な出発といったほうがいいでしょう。

そういう意味で、君たちにとって新しい世界へ飛び込むということになります。

しっかり頑張ってほしいと思っております。

おそらく、この大学4年間、あるいは5年間におかれましては、この大学においておそらくいろいろな先生方からいろいろなことを学んだはずであります。

それをフランスの詩人のアラゴンという人は、ストラスブール大学の歌という有名な詩にまとめております。

『Chanson de l'Universite de Strasbourg』という詩でありますが、

その中でアラゴンは「Enseigner c'est dire esperance etudier fidelite」というふうに言っております。

何を言っているかといいますと、要するにアラゴンは自分の大学生活ということを振り返って、

「教えるとは希望を語ること」である。


おそらく先生方が君たちに対して教えるということは希望を語っているわけです。

具体的にどうすべきか、ということを言っているわけではありません。

それは諸君がこれからやっていかなければなりません。

そして、「学ぶとは誠実を胸に刻むこと」である。

「教えるとは希望を語ることであり、学ぶとは誠実を胸に刻むこと」である。

それは、どういうことを意味しているかというと、そんなに難しいことを意味しているわけではありません。

要するに大学では君たちは社会に出てからの自分の人生について様々な希望というものを持ったはずであります。

そして、それに対して先生方の教えというものを誠実に胸に刻む。つまり勉強したということであります。

どういう勉強をしたのか、それが今から試されるということになるわけであります。

そういう意味で、これからの諸君の人生というものは大学時代にどれくらい

力をためたか、力を蓄えたか、ということによって全部決まるわけではありませんが、かなりの部分が決まるんだということを考えて大学時代に学んだことを是非活かしましょう。

それは、どういうことを活かそうかというと、具体的に技術的なことではありません。

そういうことではなく、人生においてどう戦うかということを諸君は大学時代に学んだはずであります。

それをしっかり頑張ってください。


私が今日、真っ黒な顔をしているのは、現在私は75歳ですが、つい3日前まで北アルプスを5日間歩いていました。

最後に残した北アルプスの白馬三山という所を中心にあちこちを歩いてきたわけでありますが、1日10時間ぐらい歩きました。

やはり75歳にもなると、1日に10時間山を歩くということは相当堪えます。

しかし、堪えても登ってやるぞ、最後までいくぞというしっかりとした信念、執念、情熱があれば、それは十分可能だということを私は諸君に申し上げたいです。

おそらく、世の中に出たら、私が山を歩いてつらい思いをしたことよりも比較にならないようないろんな問題に当たることになるでしょう。

諸君はそういったところで場合によっては泣くかもしれない。泣いたらもう一度このキャンパスに帰ってきましょう。

そして、このキャンパスの中を諸君たちがしっかりと学生時代を思い出しながら歩いてこの中を見ていると、あの頃の思い出、あの頃の希望というものがもう一度君たちの胸を満たすはずであります。


その希望に向かってもう1回挑戦すればいいのです。

人生は常に挑戦です。その挑戦という気持ちを忘れなかったら、君たちの人生というものはきっと大きく開けるものだと私は確信しております。

そういう意味でこの学校で諸君は今まで考えたことなかったでしょう。

何を学んだかなんて考えたことなかったでしょう。

おそらく考えてもわからなかったでしょう。

しかし、それがこれから問われるんだということをしっかり胸に秘めて、そして何かにぶち当たったら、あるいは何か壁に行き詰ったらその時に持っていた希望というものをバネにして人生に挑戦し、人生に大きな穴をあけていきましょう。

そして、君たちの人生というものが揚々たる広がりを持つことを私は確信しております。

どうか、しっかり頑張ってください。


諸君のこれからのご健闘を心からお祈りします。