2017年度卒業式学長式辞

2017年度卒業式 学長式辞
学長
奥島孝康
卒業生のみなさん、御卒業おめでとう。
ご両親を始め、御親族の皆様方、 おめでとうございます。
改めて心からお祝い申し上げます。
みなさんは、明日から社会へ飛び立つことになります。
そこで、学校と社会との違いを少しだけ指摘し、みなさんのこれからの生き方を考える手がかりを卒業の贈り物として指摘しておきましょう。
すでに十分気がつかれていたこととは思いますが、みなさんは、小中高校時代と大学時代の学び方の違いがいかに大きかったか、ということを考えてください。
教育論を正面切って話すことはかなり難しいのですが、アメリカの教育学の大家デューイは、ある日若いご婦人の訪問を受け、こう質問されたそうです。
「先生、私の息子も今年3歳となったので、そろそろ教育を始めようと思うのですが、早すぎるでしょうか」と。
これに対して、デューイはこう答えたそうです。
「奥様、残念ながら3年遅かったですね」と。
このように、教育論を論ずると複雑なことになりますが、一般的に言えば、小中高校時代の学習のあり方は、something about everything だったのに対して、
大学での学び方は、いわばeverything about something です。
つまり、小中高校時代は、一人前になるためにあらゆることの必要な最小限度の知識を身につけるための学習でした。
しかし、大学での勉強は、専門とする限られた分野を深く掘り下げる勉強です。
いわば、everything とsomethingとが入れ代わっているというわけです。
みなさんは、これから社会に出て、自分の専門である経営学とか法学とか、さらに教育学の分野で学んだ専門知識を使って社会で活躍されることが期待されるのです。
自分では気がついていなくとも、この4年間で、みなさんは、 いつの間にかその専門能力の全部ではなくも、その一端を身につけているのです。
自信をもって社会で活躍してください。
といっても、みなさんはまだまだそれぞれの専門家ではありません。
しかし、少なくともそうした学びの中で、みなさんは、専門科目に身を浸し、その雰囲気に触れているうちに、知らず知らずのうちに経営学的な、
法学的な、あるいはまた教育学的な思考パターンを身につけてきているのです。
心配することはありません。
自分の勉強に自信を持ってください。
もとより、先にも述べたように、みなさんは、まだまだ未熟です。
ですから、思うところがあれば、懐かしい母校へ立寄り、恩師や後輩に会って大学時代の若さと瑞々しさとを取り戻してください。ご存知のように、母校は新幹線も停車するJR小山駅前に中心を移します。
これは、戦略的に生涯学習時代を先取りした構えです。
これからの時代は少子高齢化がますます進み、生涯学習時代はもう目前に迫っています。
母校はいつでも、みなさんの要請に応える体制を とっています。
たとえば、アメリカの州立大学は午後4時を過ぎると、キャンパスに熱気が満ちてきます。勤め帰りの人たちが一斉に大学の授業に参加するからです。
みなさんも、十分知っているように、本学のモットーは、創立者上岡一嘉先生が定めた“PLUSプルス ULTRAウルトラ”、
つまり「さらに向こうへ」です。とても素晴らしいモットーです。
それを絶えず聞きながら4年間を送ったみなさんは、本学で身につけたカモメのような「優美さ」と「力強さ」を存分に発揮し、社会で高く評価されるであろうと確信しています。
しかし、時には疲れることもあるでしょう。
自信が揺らぐこともあるでしょう。
そのときには、母校に立寄り英気を養い、さらに挑戦を続けるのです。
母校はいつでも扉を大きく開いてみなさんの訪れを待っています。
いつでも、いついつまでも、みなさんを温かく迎え、みなさんが再び元気に翔くお手伝いをいたします。
「PLUS ULTRA」のスローガンをいつまでも忘れないで、みなさんが社会で 「さらに向こう」に前進してくれることを祈ります。