白鴎大学 HAKUOH UNIVERSITY

法学部

法学部で何を学ぶか

法学部で何を学ぶか

1. 大学での勉強について

大学での勉強が高校時代までともっとも違う点は、いろいろな意味で学ぶ側の主体性に委ねられる部分が大きくなることでしょう。
多くの授業科目は、自分の興味・関心や卒業後の目標などに合わせて選択することができます(ただし、必ず履修しなければならないものもあります)。
授業内容は、教科書に書いてあることの説明にとどまらず、それに対する疑問や批判を通じて学問の本質に迫ってゆくことになります。そこでは、あらかじめ決まっている答えを覚えるのではなく、自らの問題意識や価値判断にもとづいて真理を追究して行く場面も出てくるでしょう。

大学では多くの授業は、大教室で各分野の専門家による授業を聴く「講義」という形式で行われます。講義には、後で紹介するように法学に関する「専門科目」以外にも、「教養科目」というものもあり、多様な知識を幅広く学ぶことができます。
このほかに、少人数のグループで授業を行なう「ゼミナール(ゼミ)」という授業があります。ゼミでは、各学生が与えられた課題や自らが選んだテーマについて調査・研究をしたうえで、グループの前で発表し、質疑応答や議論が行われます。こうして養われる資料収集、レポート作成、プレゼンテーションを行う能力は、社会に出ても非常に役立つものです。
さらに、法学部独特のものとして、「法職演習科目」という授業が設けられています。ここでは、公務員試験や資格試験などを念頭において、問題演習を中心とした非常に実践的な授業が行われています。

2. 法学部の授業科目

法学部の授業科目には、大きく分けると(1)教養科目と(2)専門科目があります。
教養科目とは、ひろく大学生として持つべき共通の知識を学ぶ科目群のことです。ここでは、学問の方法、私たち人間自身、そして歴史・文化・自然環境・現代社会などに関するさまざまな知識を学ぶことになります。
専門科目とは、法律学を中心とする科目群のことであり、他の学部では重点的に学ぶことができないものです。法学部の専門科目で学ぶ知識は、企業をはじめ社会のどの分野で活躍する場合にも役立つものですが、とくに法曹(裁判官、検事、弁護士)や公務員(国家公務員、地方公務員)になる場合、あるいは多くの資格(司法書士、行政書士、社会保険労務士、宅地建物取引主任者などの資格)を取得する際には不可欠なものです。

(1) 教養科目

法学部で学ぶことができる科目の詳細は、「シラバス(講義概要)」のページに掲載されていますが、ここでは教養科目を構成する5つの分野について簡単に紹介します。
シラバス(講義概要)

①人間・自己を理解するための科目
人間の生き方、人生の意味、善と悪、人間行動の心理的側面など、人間をとりまくさまざまな事象について根本に立ち返って究明し、理解する分野です。哲学、倫理学、文学、心理学、教育学、健康科学などの科目があります。
②学問の方法を理解するための科目
言語、文法、論理、統計処理など学問研究をするために不可欠な基本的素養について、主に「ことば」と「数」を中心として学び、体得する分野です。外国語、国語表現法、論理学、クリティカルシンキング、統計学、代数学、解析学、数学概論などの科目があります。
③社会を理解するための科目
私たちをとりまく社会の仕組み、成り立ち、現状と問題点、将来設計などについて科学的、体系的に分析し、現代社会を理解しようとする分野です。社会学、経済学、社会心理学、政治学、情報社会科学などの科目があります。
④歴史・文化を理解するための科目
人間社会の成立と発展、諸文化の特徴、現代世界の問題点などを歴史的視点から明らかにし、人間社会に対する複眼的な視野を養う分野です。歴史学、日本史概論、外国史概論、美学、比較文化論、科学史などの科目があります。
⑤自然を理解するための科目
私たち人間社会を取り巻く自然環境に目をやり、自然の生成発展の法則、自然を構成する諸要素の原理的分析や生物と生命に関する知識を得る分野です。地理学、環境科学、物理学、化学、生物学などの科目があります。
(2) 専門科目

法学部で学ぶことができる科目の詳細は、「履修要綱」のページに掲載されていますが、ここでは専門科目を構成する6つの分野について簡単に紹介します。

①基礎法学科目
法の概念・価値・解釈などを対象とする法哲学、法と社会との関係について考察する法社会学、日本史・世界史における法の生成・発展の過程を学ぶ法制史など、すべての法分野に共通する基本的な問題を取扱う分野であり、専門科目の勉強を進めてゆく際に重要な基礎となる知識や考え方を学ぶとともに、「法とは何か」という本質的な問題を探究して行きます。
②公法科目
国家の基本法として、国家の組織や活動の基本原則や国民の基本的人権などについて定めた憲法、国、自治体(都道府県・市町村)の行政の組織や活動、それをめぐる法的紛争の解決方法などについて規律する行政法、地方自治法、税法などの科目がある分野であり、ここで学ぶ内容の多くは、公務員として働く場合はもちろん、行政書士や税理士などの仕事にも必要な知識です。
③民事法科目
民事法とは④の刑事法に対することばで、市民間のトラブルを規律する法全体の総称です。具体的には、市民間や会社間の紛争解決のための規準を示した民法や会社法といった科目、紛争解決の手続や方法を規律した民事訴訟法、民事執行法などの科目があります。すべての人に適用される基本的な法律である民法は、多くの資格試験や公務員の試験科目にもなっています。
④刑事法科目
犯罪とは何か、犯罪を犯すとどのような刑罰に処せられるかを学ぶ刑法、犯罪を犯した人の逮捕や裁判手続に関する法律を学ぶ刑事訴訟法、また、犯罪の原因と対策、被害者問題や少年犯罪について学ぶ刑事政策などの科目があります。これらの科目では、将来、警察官として働く場合をはじめ、検察官・弁護士などの仕事をするうえでも不可欠の知識を学びます。
⑤国際関係法・外国法科目
国家間の関係、国際組織、国際関係における個人の地位などを対象とする国際関係法に関する科目や、欧米諸国、中国、イスラム世界など諸外国の法の歴史や制度について学ぶ科目がある分野であり、国際関係や諸外国の歴史や文化などについて、法制度という観点から学ぶことによって、一般的な知識を超えた深い洞察を得ることができます。
⑥政治学関連科目
権力の行使などの政治現象を考える政治学原論、生産・流通・消費といった経済現象を取扱う経済学に加えて、立法学、政策学では法律や政策の立案について学び、行政学、財政学ではそれらを実現する仕組みを考えます。政治思想史、日本(西洋)政治史では政策判断の基礎となる価値や歴史観を磨きます。こうして、少子高齢化、格差社会、地球環境など現代社会の課題を解決するために必要な考え方を身に付けます。